診療案内

脳血管障害(血管内)

脳血管障害
(血管内)

脳神経外科では、「脳血管内治療」にも積極的に携わっています。脳血管内治療とは手首や鼠径部の血管へカテーテルを挿入し、頭蓋内の血管まで誘導して「血管」の「内側から」治療する方法です。当院では2024年4月1日に「脳血管内治療科」を開設し、脳神経外科医と脳神経内科医が連携して、より専門的で高度な最先端の医療を行っています。

脳血管内治療は頭を切らずにカテーテルを用いて行う治療です。そのため直達手術(開頭手術)と比べて低侵襲であり、また短時間で施行可能であり、従来治療困難であった病変に対しても治療可能となってきました。当科の主な対象疾患と治療方法は、クモ膜下出血(破裂脳動脈瘤)および未破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術やフローダイバーター留置術、急性期脳梗塞(脳主幹動脈閉塞)に対する脳血栓回収療法、頸動脈狭窄・頭蓋内動脈狭窄に対するステント留置術(血管拡張術)、脳・脊髄動静脈奇形・硬膜動静脈瘻に対する塞栓術、脳腫瘍の栄養血管塞栓術などです。

当科の医師はクモ膜下出血や急性期脳梗塞に対する緊急手術に24時間365日対応できるように、オンコール体制をとっています。近年発症から24時間以内の脳主幹動脈閉塞に対するステントリトリーバーを用いた脳血栓回収療法の有用性のエビデンスが確立しています。さらに各地で脳卒中の救急搬送システムが見直され、発症からできる限り早期に閉塞血管の再開通を目指す治療を行うことが求められています。当科では、川崎市および横浜市の救急隊と連携し、さらに救急医療に携わる各診療科の医師及びスタッフと協力して、本治療をいつでも迅速に施行できる体制を整えています。各疾患については当院「聖マリアンナ医科大学脳血管内治療科」のホームページをご覧ください。(https://www.toyoko-stroke.com/)

さらに、われわれは徹底した「低侵襲治療」を追求しています。中でも穿刺部はとても重要です。一般的には足の付け根の「大腿動脈」からカテーテルを挿入しますが、術後の再出血を予防するためにベッド上での安静や足の固定が患者さんの苦痛となっていました。そこでわれわれは一定の条件さえ整えば、利き手を避けた左手(左利きであれば右手)の親指の付け根(タバコ窩)の「遠位橈骨動脈」へ穿刺して治療しています。この治療法により術後の下肢固定が不必要となり、また右利きの方であれば利き手を使って食事等も出来るようになるので、極めてストレスの少ない入院生活を送ることが可能になります。

左手タバコ窩に挿入されたカテーテル。手指の運動に支障ありません。

脳血管内治療は高度な習熟を要する特殊な治療であり、経験豊富な治療医の確保と系統的な教育の継続が重要です。当院では、経験豊富な2名の指導医を含む計8名の専門医が診療を担当しており、安全な医療を患者様に提供できる環境を整えています。また、脳血管内治療を学びたいと考えている医師の皆様にも、研修先として自信を持ってお勧めできる環境が整っています。私たちの目標は、全国から意欲的な学生さん、内科や外科を問わず若手医師を集め、共に学び、成長し、未来の脳血管内治療のリーダーとなる人材を育成することです。当科で学ぶことで、あなたのキャリアに大きな飛躍をもたらすことができると信じています。皆さんのご参加を心よりお待ちしています。

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